理想的な関りが子どもの自己肯定感を育む【叱らない保育論】

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『叱らない保育論』・・・【一章】叱れない親からの脱却マニュアル
             ・・・・・・理想的な関りが子どもの自己肯定感を育む

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自己肯定感とは「自分が自分であって大丈夫」と感じる事

 【自己肯定感】という言葉がだいぶ一般的に使われるようになってきましたね。自己肯定感を育む系のハウトゥ本は子育てだけでなく、大人向けの自己啓発本も沢山出版されています。

 自己肯定感というのは、子どもが自分で自分のことを認めて、受け入れ、「自分で良いんだ」と肯定できる心理状態です。そう子ども達が思えるように導く為に、身近な大人ができることは「理想的な関わり」を持つことです。

 どうして、「理想的な関わり」が自己肯定感を育むのかを解説する前に、少しだけ【自己肯定感】についての解説をしていこうと思います。

自己肯定感という言葉が初めて使われたのは?

 自己肯定感という言葉を初めて論文の中で用いたのは、立命館大学の高垣教授であるとされています。高垣教授は30年に及ぶ心理臨床実践の経験の中から、障がいやいじめ、精神疾患など様々な理由で「安心できない脅威の世界」(と表現していますが)を生きている人が多く居たと言います。感覚値の中で、なんとなくその感じが伝わる人もいると思います。

 そんな人たちには「自分が自分であっても大丈夫」と思える感覚が欠けているとし、この「自分が自分であっても大丈夫」と思える感覚を【自己肯定感】と定義しました。つまり、始まりの定義としては生きづらさを感じているカウンセリングのクライアントの多くに欠けていた「ありのままの自分を受け入れる」感覚という部分を言語化したものだったのです。

 こうした背景から生み出された言葉ですが、今現在書店で並ぶ明るい基調の包装をされた自己啓発本の多くは、無理矢理にポジティブな理想の感覚として扱っているものが多い様に感じられます。

「自分が自分であっても大丈夫」と思えると、他人の”個”も認められる

 「自分が自分であっても大丈夫」という感覚を持つことができると、他者に対しても寛容な態度を取ることができるとされています。

 この一つの側面として、自分のことを受容できているからこそ、他人を慮る余裕の様なものが生まれるということがあるのではないでしょうか?

 自分のことに必死であったり、そもそもとして自分のことを受け入れることが出来ず、世界が「安心できず脅威にさらされるもの」だと考えているとして。そんな時に、他人に気を回す余裕などありません。まずはその脅威のある世界から脱することが最優先にされるので、他人のことは後回しになってしまっても当然な事ですよね。

 「他人を受け入れる」ということは、どこか当たり前の倫理観のですが、言葉で言うほど簡単なものではなく、実際にできることかというと難しい部分がありますよね。まずは自分の”個”を受け入れ、自分は自分のままで良いと感じること。そして、自分という絶対的な指標を持って初めて、相対的な他人という相手の個を見つめることができるようになっていくのだと思います。

 そんな自分が自分であっても良いんだよ。という【自己肯定感】を、未来を生きていく子ども達に持ってもらうために私たち大人ができることはなんでしょうか?考えていきたいと思います。

自己肯定感を構成するもの

 【自己肯定感】の根底にあるのは、「自分が自分であっても大丈夫」という自分の”個”を尊重する考え方だと言えます。とはいえ、自分の個を尊重するというのは、具体性に欠けていますしここではもう少し深く踏み込んでみましょう。

 自己肯定感を構成する自己認知の形と言ってしまうと、少し語弊を含むのですが。これから紹介する3つの認知の形は、自己肯定感と共に育みたいものであり、かつ自己肯定感を高める為に不可欠な要素なので、子どもにとっての具体例と共に、少しだけ理論的な部分についても紹介をしていこうと思います。

自己肯定感を構成する三つの自己認知

 自己肯定感を育むために、一緒に育んでいきたい自己認知3つについて解説をしていきます。その、3つの自己認知の形が以下となります。

【自己肯定感】を構成する3つの自己認知

・自己効力感(じここうりょくかん)
・自己存在感(じこそんざいかん)
・自尊感情

自己効力感・・・ブロックでお城を作ることが自分にはできる!

 ブロックを使って大きなお城を建てようとしている子どもがいます。普段からブロックで遊んでいるので、電車や小さい家など他の子も作り方を知れば作れるけれど、技術的に少し難しい作品もこれまで何回も作ってきました。

 ママパパや先生、お友達からもブロック遊びが上手と褒められてきました。 ですが、大きなお城を作るのは今日が初めてになります。

 その時、「お城を作るには、あのブロックで塀を作って、門はアレで、高く積まなければならないからきっとお城の下の方は強くしなくちゃいけないな・・・・・・よし、僕ならお城を作ることができるはずだ!」と感じ、お城を建て始めました。

  この時、ブロックで遊んでいる子どもからは、高い【自己効力感】を見てとる事が出来ます。では、理論的には【自己効力感】とはなんなのでしょう?簡潔にまとめると以下のような説明になります。

 自己効力感とは・・・・・・ある状況の中で、何か結果を出す時に、「その結果を手にする為の”行動”を自分がすることができる!」と感じる自己認知です。

 ブロックで遊んでいた子の例において、前提として幾つかの要素があります。お城を建てるだけのブロックの数や十分な時間など環境が整っていること。そして、その時の成長・発達やもっている技術において、お城を建てる為に必要な各ブロックの組み合わせを作ることが可能な状態である。ということです。

 そうした前提条件がありきで、
 ブロック遊びをする時間に、お城が建つという結果に必要な、「ブロックを集める」・「必要なスペースを確保する」・「ブロックを様々に組み合わせる」・「バランスをとりながら高く自立させる」・・・こうした”行動”に焦点を当てて、自分には技術的にもお城を作ることができるんだ!と感じていることが、この場面のこの子どもは【自己効力感】が高いと言えるのです。

 では、同じ場面で【自己効力感】が低い子どもはどう感じているのかというと、技術的には可能であるにも関わらず「僕には難しくてできない」、「途中で崩れたら嫌だからやめておこう」と、本当は作ってみたいし、作るだけの環境や技術もあるのに、「自分には”できない”んだ」と考えてしまうのです。これって凄く勿体ないことですよね。

 例えばですが、「四角いブロックしかないのに完璧な球体を作りたい」、「ブロックが100個じかないのに、1000個は必要な大きい作品を作りたい」、「1歳児さんが年長さんが作るお城を自分で作りたい」というように、「現実的に不可能なこと」ができないのは至極当然なことですよね。なので、うした状態を、自分の努力不足や技術の無さのせいにすることは【自己効力感】が低いと言いません。これは理由なく自分のことを貶めている、認知の歪み(考え方の悪い癖)に過ぎないからです。

 あわせて【自己効力感】を考える時に注意したいのは、「何でもかんでも自分はできる!」という勘違いや、根拠のない自信を持つことではないということです。そうした間違った考え方をしている状態は【自己効力感】が高いとは言いません。

 この根拠なく自信を持つことや、無理矢理に楽観視をすることが良い!というような考え方が【自己効力感】と混同されていたり、悪意をもって一緒くたにして啓蒙している本や人が少なからず居るので注意が必要です。根拠なく自信をもって取り組みましょう!とか失敗が目に見えていますし、それで成功して本当の自信につながるかは疑問です。

自己有能感・・・私はみんなから必要とされている

 子どもの周りにいる大人が笑顔でいると子どもは安心します。子どもに対して肯定的な関わりを持もつと、子どもは自分を大切にしてくれていると感じます。「あなたのことが大好き」、「生まれてきてくれてありがとう」などの言葉かけも、子どもを安心させると共に、自分自身を好きになれる大きな要因の一つとなります。

 人間は社会的な動物と言われ、無意識のレベルでもコミュニケーションをとっていたり、言葉が分からなくても気持ちが伝わったり、言葉を使わずに自分の意図を伝えることもできたりします。子ども達は、コミュニケーションツールがまだ少ないですし、言葉でコミュニケーションを取ろうとしても、大人程には上手く気持ちを伝えたりが出来ませんよね。ですが、現実的に子どもは一人では生きていけません、生きていく為には上手にコミュニケーションを取らないといけないのです。

 なので、子ども達は周りの大人の気持ちを鋭く推察したり、コミュニケーションを取ったり、大人の表情を読んだり、空気を感じとることができるようになっているのだと考えています。

 自己有能感とは・・・自分が周りから大切にされている。周りに必要とされていると感じることを言います。

 必要とされている。というと凄く固い感じというか、子どもにそんな感情があるのか?と思ってしまいますが、要は身近な大人に愛情をかけて育てられ、安心して過ごすことができている状態で育まれる安心感や心地よさのことではないかと考えられます。

 自己有能感が高い子どもは、大人に見守られている安心感であったり、自分のすることを肯定的に見てもらえるという安心感があるので、他者への関りに積極的になったり、無理なく親離れをすることができるとされています。

自尊感情・・・社会と相互に関わりのある自分を受け入れる気持ち

 初めて逆上がりができた時に「自分はすごい!」と思う子もいれば、「お友達はもっと早くにできていたのに」と思う子がいたりします。

 逆上がりができたという結果は同じなのに、その瞬間の気持ちとして前者には自信を感じますが、後者は自信を持てていないようにも感じます。

 自尊感情とは自尊心のことです。難しい言葉では、「自己に対する一般化された肯定的な気持ち」などと言ったりします。元々は心理学用語ですが、英語の「pride(プライド)」という言葉も合わせて、今は一般的にも使われるようになっていますよね。ざっくり言ってしまえば、pride=自分を誇りに思う事 という解釈で良いと思います。

 例にあげた逆上がりができた子達の、自信の違いはどこからくるものだと思いますか?自分のことを誇りに思う、つまりは自信を持つということってすごく個人的な感情のように感じますよね。なので、自信を持てた子と持ててない子の差は、それぞれの気持ち次第と捉えてしまいがちです。

 自身を持てたのかどうかは、その子の考え次第で周りが影響をおよぼせることではない。というのが、本当のに近年まで心理学の研究の中でも言われてきたことでした。

 ですが、近年の自尊心に関する研究の中では「自尊心は、様々な”社会的作用によって引き起こされる”自己評価に基づく肯定的な気持ち」であると考えられるようになりました。これまでの、あくまでも個人的な感情だという部分では説明のつかなかった部分を補う形で深められた研究の成果です。

 つまり、その子が逆上がりができた時に、周りが喜んでくれたことが嬉しかった。逆上がりができるまで、何度も何度も練習してきた努力が報われたことが嬉しかった。他の子と比較されているか否か、比較されていることでストレスを感じているのかなど、様々な要因に左右されながら自分を評価した時に、自信を持つことができるかどうかが決まってくる。という考え方です。

 なので、子ども達はたくさんの成功をすれば勝手に自信を持つわけではなく、周りの大人が褒めたり、一緒に喜んだり、お友達と練習をした思い出があったりしてようやく、「自分のできたことはすごいことなんだ!自分に自信を持っていいんだ!」と感じる事が出来るようになるということです。

 自尊感情は絶対的な個人の感情でありながら、自尊感情を高めることができるかどうかは、周りの環境や関りが大きくかかわってくるということなんですね。

身近な大人に認められることが自分自身を認める初めの一歩

  【自己肯定感】とは「自分は自分であっても大丈夫」という感覚で、自分が物事を成功させる行動をとることができると感じる【自己効力感】、周りの大人を含む他者から必要とされていると感じる【自己有能感】、そして様々な社会的要因と深く関わりながら自分を評価して受け入れる【自尊感情】を高めることが重要です。

 では、こうした「自己効力感」、「自己有能感」そして「自尊感情」を高めてあげる関りとはどういうものなのかというと、周りの大人が子どもの存在を肯定して認めてあげることだと言えます。

 つまり、身近な大人がその子を認めてあげることが、【自己肯定感】を育むための初めの一歩になるのです。

 そうした関りを続けていくことで、自分のできることを自覚したり、そこから得手不得手や好き嫌いに派生したりもします。また、周りから愛されている自覚というものが育まれるので、自分は自分であって大丈夫!という【自己肯定感】が高まっていきます。

 育児に関する話の中で「理想的な関わり」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、子どもの【自己肯定感】を伸ばす為に必要なのが正にこの「理想的な関わり」であると感じます。子どもを一人の人間として尊重し、肯定的な関りをして、ケガや病気などから守ってあげる。沢山の愛情を言葉やスキンシップで伝えて、いつでも見守ってあげる。

 当たり前の関りの様で、やっぱり実際にそうした関りをずっと続けていくことって難しいですよね。だから、こうした子どもへの肯定的な関わりは「理想的な関わり」と呼ばれるのだと思います。

 

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