ある競技であったり、芸術分野であったり、学問であったり、特定の分野に特化して幼い頃から教育を行うことを【英才教育】と呼びます。
すごく夢のある話ですが果たして本当に効果があるのか?誰にでも効果があるのか?保育士の視点から解説をします!
結論
英才教育は効果が確実にあるけれど、誰にでも【結果】が期待できるものではないので保育士としてはお勧めしません。
というのが、保育士としての僕なりの結論です。
これだと一般論と同じようになってしまうので、次の3つのポイントについて、より詳しい解説を加えていきます。
1.特定の分野に関連する技能は誰でも確実に高まる
2.適切な環境を続けることは親の負担が大きい
3.【特定の経験】よりも【色んな経験】をすることのメリット
1.特定の分野に関連する技能は誰でも確実に高まる
まずは英才教育のメリットとして、英才教育を行う特定の分野について誰でも確実に上手になります。これは、すごく単純な話ですが、基本的に人の知識や技術というのは沢山の練習や経験を積むことで着実に伸びていくものだからです。
また、英才教育は多くの場合はママやパパなど、周りの大人が実際にやったことのあるものだったり、興味のある分野について子どもに教育を行うケースが多くなります。 小さい子は、身近な大人の興味関心に影響を受けやすいので、早い時期に特定の分野に触れることで興味を持ったり、好きになったりする可能性が高まります。
ただし、確実に誰でも効果が期待できると言っても、みんなが同じだけ上手になるわけはありませんし、同じ努力をすれば同じ結果が出るというわけではありません。
2.適切な環境を続けることは親の負担が大きい
【英才教育】は、ただ「幼い頃に始める」ということではありません。
幼い頃から「触れ、親しみ」ながら「専門性の高い教育」を受け、「適切な時期」に「適切な環境」を用意すること。これを結果が出るまでずっと続けることが絶対に必要なんです。
それには一例を挙げるだけでも、「用具を買いそろえる」、「指導者を雇う(スクールに通う)」、「練習環境を用意する」、「子どものスケジューリング」を行いつつ「援助する為に自分の時間と労力を割く」、成長していくにつれ「遠征費や留学費」も必要になったりします。
「高度な教育」を受けさせ続けるということは、ただその環境を維持する(ずっと続けていく)だけでも大変な時間と出費、労力が必要となります。
なので、これはネガティブな意見ではなく、現実問題として
家庭の経済力や、子どもをサポートし続ける余力を持つ大人が周りに居るかどうか、もしくは様々な公的支援にアクセスできるだけの情報収集力を持っているかどうかで、 【英才教育】そのものを、行えるかどうかが決まってしまうのです。
3.【特定の経験】よりも【色んな経験】をすることのメリット
最後に保育士っぽい理由を解説して終わります。
一握りの一流を目指すのでなければ、小さい頃には色んな運動や遊び、文化に触れて、色んな経験をする方が後々の進路や視界を広げることが出来ると言えます。
なぜ、そう言えるのかについて、ある「子どもの運動能力」に関する研究が面白い結果を示しているので軽く紹介します。
ある特定の種目の能力について「その特定の種目をずっと続けた子ども」と「色んな運動で遊んでいた子ども」とを比較しました。
すると、研究の調査開始時には「特定の種目だけを行っている子ども」方が、練習したその種目がよく出来ていたのですが、数年後には「色々な運動で遊んでいた子ども」とほとんど差が無くなってしまいました。
また、他の種目についても比較してみると「色んな運動で遊んでいた子ども」の方が、明らかに「特定の種目だけを行っている子ども」よりも良くできていることが分かりました。
つまり、何か特定のことを続けることは、その特定の種目で使う運動や技能に関しては、効果が早くに現れ、着実に伸びるのですが、 その種目に関わることから外れた運動能力や技能に関しては、伸ばすことが出来ていなかった。という結果です。
なので、保育士としては、小さい頃から色んな種類の運動や、芸術、文化に触れることで、沢山の応用の利く技能や知識を身に着けることの方がメリットがあると考えます。
確かに特定種目に強いというのは、すごく魅力的なことです。それは間違いは無いのですが、大人の影響を大きく受けるとはいえ最終的に何になりたいかを決めるのは子ども達です。
子ども達が大きくなって部活を決める時、進路を決める時に、少しでも広い門が空いている方が、自己決定する子ども達にとってメリットが大きいのではないかなと考えています。
何を子どもの幸せとするかが一番大切
夢のある【英才教育】ですが、現実に行うにはそれぞれの「家庭の事情が大きく影響」したり、結果を求めるのであれば身もふたもないですが「運」や「タイミング」のようなコントロールできない要素が入ってきます。
幼い頃からしっかりと習うことは、その特定の種目について興味を深めることができますし、やはり子ども自身に「得意」ができることで自信を持つこと、勝敗や優劣があるのであれば喜びやくやしさという大切な「経験」もすることができます。 それは、その種目に打ち込んだ人にしか味わえない特権なので、とても価値のあるものだと思います。
保育士として沢山の子ども達を見てきた立場として、今回は誰にでもお勧めするものでは無いという結論になりましたが、【英才教育】そのものの是非については分かりませんし、そうした努力や選択は否定できるものではありません。
子ども達の選択に、大人は大人が想像している以上に、良くも悪くも大きな影響を与えてしまいます。それを忘れずに、子どもにとっての最善はなんだろう?と考えながら、どういった支援をしていくのか、そういった経験ができる機会を作るのかを考えていきたいですね。
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